2023年11月26日日曜日

変圧器の動作と内部磁束

前書き

この記事では、変圧器の基本的な動作と変圧器内部の磁束について紹介する。変圧器は磁気結合を利用して、簡単に交流電圧を変圧することができる。変圧器の各コイルが発生させる磁束は互いに打ち消しあうため、変圧器の内部磁束は小さくなる。特に変圧器の片側が電圧源に接続されるとき、変圧器の内部磁束は、変圧器に流れる電流の大きさに関係なく、周期的な値となる。最初に理想変圧器と現実の変圧器を比較しつつ、変圧器の原理を確認する。次に、変圧器の2次側を短絡・開放・負荷接続した各回路状態において、変圧器の2つのコイルに鎖交する励磁磁束とコイル電流・電圧の状態を検討する。

2023年9月2日土曜日

PMSMの制御系の設計

 前書き

この記事では永久磁石同期モータ(Permanent Magnet Synchronous Motor; PMSM)の電流制御シミュレーションを対象としたPMSMモータの制御系の設計を検討する。

2023年1月10日火曜日

OpenModelicaを用いたPMSM駆動シミュレーション

前書き

この記事では誰でも無料で使用可能なオープンソースのOpenModelica OMEditを用いた、永久磁石同期モータ(Permanent Magnet Synchronous Motor; PMSM)の電流制御シミュレーションを紹介する。OMEditを用いることで、GUI上で複数の機能ブロックを組み合わせるだけで複雑なシミュレーションを行うことが可能である。PMSMの電流制御では、ベクトル制御による電流フィードバックを実現する。最初にOMEdit上での設定を示した後に、PMSMのベクトル制御による電流フィードバックの理論の概要を説明する。詳細は参考に示したサイトを見てほしい。OMEditでモデルを構成する上で注意が必要なブロックを紹介した後に、シミュレーション結果を示し、モデルの妥当性を確認する。
PMSMの電流制御シミュレーション

2022年12月13日火曜日

変圧器のパラメータ測定

前書き

変圧器の特性を調べるためには、変圧器の等価回路のパラメータを測定する必要がある。この記事では、特に数kHzスイッチングを行う電力変換器に用いられる変圧器を想定して、パラメータ測定方法について記載する。変圧器の等価回路にはL型等価回路とT型等価回路があり、L型等価回路のパラメータ測定は最低でも直流試験と2つの開放・短絡試験を、T型等価回路のパラメータ測定は直流試験と3つの開放・短絡試験をそれぞれ必要とする。各試験結果から等価回路のパラメータを求める計算式を導出する。また、試験結果に対して等価回路を用いるための条件についても検討する。

2022年10月31日月曜日

変圧器の等価回路 -自己インダクタンスと相互インダクタンス-

 

前書き

この記事では結合インダクタを表現するために頻繁に使用される自己・相互インダクタンス(結合係数)を用いて、変圧器の等価回路を算出する。算出したT型等価回路は等価回路中の理想変圧器の変圧比を任意に与えることで、自由に1次・2次直列インダクタンスの値を調整可能な電気的に等価な回路を得ることができる。算出した等価回路と漏れ・励磁インダクタンスを用いた等価回路を比較して、変圧器の実際の巻き数比を用いることで、自己・相互インダクタンスと漏れ・励磁インダクタンスを相互に変換する式を求める。

2022年10月2日日曜日

変圧器の等価回路 -漏れインダクタンスと励磁インダクタンス-

前書き

この記事では、漏れ・励磁インダクタンスを用いた変圧器の等価回路を求める。最初に変圧器内部に3種類の磁束が存在することから、漏れ・励磁インダクタンスを定義して、変圧器の電圧・電流関係式を導出する。この関係式に基づいて、変圧器のT型等価回路を示す。さらに、T型等価回路よりもパラメータの測定が容易なL型等価回路も導出する。最後に漏れ・励磁インダクタンスと自己・相互インダクタンスや結合係数との関係を検討する。

2022年8月26日金曜日

ハーフブリッジインバータ出力電圧の周波数解析

前書き

パワーエレクトロニクス技術を用いた基本的な電力変換器の1つとして、ハーフブリッジインバータ(HBInv ; Half Bridge Inverter)がある。HBInvは直流入力、単相交流または直流出力可能な変換器であり、HBInvを並列接続することで、任意の相数の出力とすることが可能である。HBInvで任意の出力電圧を実現するために、一般的には三角波比較法を適用したパルス幅変調(PWM ; Pulse Width Modulation)が用いられる。PWMで出力される電圧には、所望の電圧の他に、スイッチングに起因する周波数成分も含まれる。これらの成分は一般的に不要な成分であり、他の機器に影響を及ぼす場合には、フィルタを用いて減衰させる。このフィルタの設計のためにはPWM波形の周波数解析を行い、不要な成分の特性を検討する必要がある。この記事ではHBInvの出力が正弦波の場合のPWM波形について、フーリエ級数展開を用いることで周波数解析を行う。

変圧器の動作と内部磁束

前書き この記事では、変圧器の基本的な動作と変圧器内部の磁束について紹介する。変圧器は磁気結合を利用して、簡単に交流電圧を変圧することができる。変圧器の各コイルが発生させる磁束は互いに打ち消しあうため、変圧器の内部磁束は小さくなる。特に変圧器の片側が電圧源に接続されるとき...