前書き
パワーエレクトロニクス技術を用いた基本的な電力変換器の1つとして、ハーフブリッジインバータ(HBInv ; Half Bridge Inverter)がある。HBInvは直流入力、単相交流または直流出力可能な変換器であり、HBInvを並列接続することで、任意の相数の出力とすることが可能である。HBInvで任意の出力電圧を実現するために、一般的には三角波比較法を適用したパルス幅変調(PWM ; Pulse Width Modulation)が用いられる。PWMで出力される電圧には、所望の電圧の他に、スイッチングに起因する周波数成分も含まれる。これらの成分は一般的に不要な成分であり、他の機器に影響を及ぼす場合には、フィルタを用いて減衰させる。このフィルタの設計のためにはPWM波形の周波数解析を行い、不要な成分の特性を検討する必要がある。この記事ではHBInvの出力が正弦波の場合のPWM波形について、フーリエ級数展開を用いることで周波数解析を行う。